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広島大学
情報科学部

コーオプ教育
プログラム

学びを社会へ、経験を未来へ
国立大学初 「コーオプ教育」

2022年、広島大学情報科学部はAI研究の進展に対応するため、学部カリキュラムを「計算機科学」「データ科学」「知能科学」の3つの主専攻プログラム制に再編し、「基礎」「融合」「実践」の3つの履修モデルを導入しました。

特に「実践履修モデル」では産学連携による長期企業派遣型の教育を行っています。学生が大学に在籍しながら企業での実務を経験する「コーオプ教育(Cooperative Education)」を採用しており、講義で学んだ理論を実社会で応用しながらスキルを磨くことが可能です。このようなデジタル分野での正規課程としてのコーオプ教育は、国立大学では初の試みです。未来のデジタル人材育成に向けて、広島大学は理論と実践を統合した新たな教育モデルを提供し続けていきます。

学部長メッセージ

学部長
情報科学部長土肥 正

 広島大学情報科学部は、コンピュータサイエンスとデータサイエンスを融合した教育拠点として、2018年4月に開設されました。その後、AI研究の進展や学生の多様なキャリア形成に対応するため、2022年度から「3プログラム×3履修モデル制」による新たなカリキュラムを導入しました。
 特に注目すべきは、「実践履修モデル」における「コーオプ教育(Cooperative Education)」の採用です。この教育プログラムは、学生を長期間にわたり企業へ派遣し、在学中に実践的なトレーニングを行う産学連携教育の一環で、国立大学としてデジタル分野で初めて正規課程として導入しました。情報科学部では、これを「長期フィールドワーク」という講義科目として位置づけ、学生が3年次と4年次のそれぞれで4か月間、企業に有償で勤務しながら実務経験を積む仕組みを提供しています。
 また、企業実習を終えた学生たちが自身の成長や学びを振り返り、実習先企業からフィードバックを受ける「成果報告会」も実施しています。このような取り組みは、これまでの高等教育にはない新たな挑戦であり、多くの方々からのご意見や評価を基に、地元企業をはじめとする産業界との連携をさらに強化していきたいと考えています。

企業で実践的なスキルを磨くコーオプ教育

コーオプ教育(Cooperative Education、略してCo-op教育)は、学校での学びと職場での実践的な経験を組み合わせた教育プログラムのことです。このプログラムでは、学生が学校で学ぶ理論や知識を実際の職場環境で活かし、実務経験を積むことができます。特に大学や専門学校で広く取り入れられており、学業とキャリアの橋渡しをする役割を果たします。

  • 実践的な学び

    学生は、大学で学んだ理論やスキルを就業体験で応用します。これにより、学んだことを実践で試し、自分の進むべき道を具体的にイメージできます。

  • 有償のインターンシップ

    多くの場合、有償の仕事として行われるため、学びながら収入を得ることが可能です。これが通常のインターンシップとの違いの一つです。

  • 学業との両立

    大学と企業の間でスケジュールが調整されており、学生が無理なく学びと就業体験を並行して行えます。

  • ネットワーキング

    学生は企業での経験を通じて、業界の人々との人脈を築くことができます。これにより、卒業後の就職活動にも有利になります。

大学での専門教育

企業での実務経験

コーオプ教育は、企業と学生双方にメリットがある仕組みであり、
長期的には人材の質の向上や企業価値の向上につながる効果が期待できます。

学生のメリット

  • キャリア形成の準備

    学生は職場での経験を通じて、実際の業務や職場文化を理解できるため、卒業後の就職やキャリア選択に役立ちます。

  • 履歴書に書ける実務経験

    就職の際、企業は実務経験を重視することが多く、コーオプ教育プログラムはその点で学生に大きなアドバンテージを与えます。

  • 給与の支給

    多くのプログラムが有償であるため、学費や生活費の補助になります。

企業のメリット

  • 将来の人材の発掘と育成

    コーオプ教育を通じて、企業は学生の能力、適性、働き方を直接観察する機会を得ます。これにより、卒業後の採用に適した人材を早期に見つけ、育成することができます。

  • 採用コストの削減

    コーオププログラムに参加した学生を採用する場合、新しい候補者を外部から探す必要がなくなり、採用活動にかかるコストを削減できます。また、既に企業文化に慣れているため、オンボーディング期間も短縮できます。

  • 新しいアイデアや視点の導入

    学生は最新の教育を受けており、新しい技術や考え方を持ち込む可能性があります。これにより、企業のイノベーションや問題解決の促進が期待できます。

  • チームや従業員への刺激

    若い学生がチームに参加することで、既存の従業員にも新たな刺激や学びの機会が生まれ、職場の活性化につながる場合があります。

  • 即戦力としての実務経験の提供

    学生に実務経験を与えることで、彼らが現場で直面する課題に対応できるスキルを身に付けます。結果として、コーオプ教育プログラム終了後に採用する場合、即戦力として期待できる人材を確保できます。

  • 社会的責任の実現

    企業が学生に学びの場を提供することで、地域社会や教育への貢献を果たせます。これにより、CSR(企業の社会的責任)活動の一環としても評価されます。

  • 企業ブランドの向上

    コーオプ教育プログラムを通じて教育機関と連携することで、企業は「教育と社会貢献に積極的な会社」というポジティブなイメージを築くことができます。これにより、学生だけでなく、潜在的な従業員や顧客にも良い印象を与えられます。

広島大学情報科学部のコーオプ教育

情報科学部のコーオプ教育は、国立大学としては初めてとなる国際標準の産学協働教育を目指すグローカルコーオプ教育※1です。広島大学は、世界の大学・企業と連携して「コーオプ教育を含むあらゆる仕事統合型教育」の推進を図るWACE※2に、教育機関正会員として参画しています。その理念・ビジョンのもと、世界の大学と伍してグローカルコーオプ教育を推進していきます。

※1…グローカルコープ教育(Glocal Cooperative Education)は、グローカル企業において長期の雇用で、実際に業務に従事しながら実践的に学ぶ大学での教育と学外での就業体験学習を組み合わせた大学主導型の正課教育プログラム。
※2…WACE(World Association for Co-operative and Work Integrated Education、世界産学連携教育協会)は、カナダ(オンタリオ州)Waterlooに本部を置き、世界52カ国、約1,000の教育機関、企業、団体や個人の会員からなる非営利法人。教育機関と産業界が協働して実施する「コープ教育を含むあらゆる仕事統合型教育(CWIE = Cooperative & Work-integrated Education)」の展開、拡大、ブランディングを行う唯一の国際機関。

実践・実務科目の流れ

情報科学部では、コーオプ教育として6つの実践・実務科目を提供しています。
中でも「長期フィールドワーク」は、計8か月もの間、実際に企業で勤務する特徴的な取り組みです。

授業概要

  • 情報処理と産業

    企業によるオムニバス講義で、各企業で実践している先端的なDXの取り組みを紹介します。情報科学部の学問分野がどのように産業界や社会で活用されているかについて学び、さまざまな産業において加速しているDXの実際を理解できます。また、情報科学の知識やスキルを活かす方法について議論します。

  • データ科学とマネジメント

    企業及び官公庁から講師を招き、各企業等の事例を紹介します。
    さまざまな産業において加速しているDXの実際を学び、データ科学の知識やマネージメントスキルを活かす方法を議論・検討します。

  • 情報科学の最前線

    我が国を代表する著名な研究者を招き、情報科学の最前線で行われている研究動向について学びます。実社会の問題や実データに基づいた講義内容で、アカデミズムの観点から実務問題を考えます。

  • プロジェクト研究

    夏季休業中の連続する5日間を利用し、企業で実施される研究・開発プロジェクトに参加するインターンシップ型講義です。実際の企業で求められている多岐にわたる能力の獲得を目指します。

  • 長期フィールドワークⅠ

    約4か月間企業の業務に有償で従事します。大学で学んだ知識やスキルを企業で実践し、最後は成果報告会で発表を行います。

  • 長期フィールドワークⅡ

    約4か月間長期フィールドワークⅠと同じ企業の業務に有償で従事して、実習を重ねることで、応用力や実践力の向上を目指します。最後は成果報告会で発表を行います。

参加した学生の声

キャリアの幅広さを実感

一社員として現場の業務に携われるのが、長期インターンシップの魅力。派遣先では、業務効率化に向けたアプリの開発に向けて外部ベンダーと要件定義を行ったり、生成AIを導入するための社内セミナーにパネラーとして登壇したりしました。プログラミングのスキルを活かしてIT分野で働くと聞くと、エンジニアのイメージがありましたが、社内のDX推進やインフラ業務など、幅広い進路があるのだと実感しました。

沖 耀太さん(派遣先:中国電力株式会社)

エンジニアとして大切なスキル

ドリーム・アーツが提供する製品の画面開発やパフォーマンス向上に従事。丁寧なコードレビューを受けながら、裁量を持って取り組める環境で大きく成長できました。また、デザインチームなど複数部署との連携を通じて、コミュニケーション力やチームでのタスク管理能力が向上したと感じます。コーディングの自動化が進む中で、エンジニアにはプロダクト思考やユーザーの視点で物事を考える力が求められるということを学びました。

伊藤 光希さん(派遣先:株式会社ドリーム・アーツ)

業務で培った将来を見据える視点

社内ツールやモバイルアプリの開発を通じて、エンジニアとしてのスキルを身に付けられました。今回改善に携わった機能は、すでにアプリに実装され、顧客のもとに届いています。自分が書いたコードが今後も使われ続けるため、誰が見てもわかりやすいように記述する必要があるという学びを得ました。今後はより実用的なコードを書けるよう、多角的な視点や論理的思考力を磨いていきたいです。

堤 礼斗さん(派遣先:株式会社ドリーム・アーツ)

社会人スキルも磨ける貴重な機会

プログラミング言語などの技術はもちろん、社会人としての礼儀やスケジュール管理能力も培われました。アプリのデバッグを任せていただき、責任をもって仕事に取り組む貴重な経験ができました。また、大学で学んだ情報技術がどのように生活と結び付いているかを実感する機会にもなりました。これからも専門知識やスキルを磨き続け、将来は身近な生活の困りごとに寄り添う製品やサービスを生み出していきたいです。

野田 涼太さん(派遣先:株式会社広島銀行)

企業における目的意識の重要性

業務を進めていると、目的と手段を混同してしまいがちです。今回携わった生成AIのアシスタント作成は「業務の効率化」という目的のための手段でしたが、作成を進めるにつれ、「ミスのない完璧な生成AIアシスタントを作ること」が目的となってしまっており、そこまで影響しない細かなミスの修正に固執してしまいました。企業では生産性が求められる分、時間やコストの無駄を防ぐために、目的を意識することが重要なのだと学びました。

吉田 陽哉さん(派遣先:復建調査設計株式会社)

これまでの学びをアウトプット

複数部署で半導体製造プロセスを学び、製品データの分析や業務効率化などに取り組みました。業務の中では、プレゼンテーションの機会が豊富にあり、分析結果や導入メリットなどをわかりやすく相手に伝える力が求められます。インターンシップを通じて、これまで学んだことをアウトプットして活かす力を伸ばせました。企業文化など、長期派遣ならではの気づきもあり、充実したフィールドワークにすることができました。

橋村 瑞希さん(派遣先:マイクロンメモリ ジャパン株式会社)

理論を実践に応用する難しさを実感

本プログラムの魅力は、フィールドワークで得た現場の体験や課題を基に、4年次前期で自分の知識やスキルを拡充していき、二度目の企業派遣で実践を重ねられる点です。今回はチャットボットシステムの改善業務に従事。現場で実際に直面する課題を解決するプロセスを経験し、スキルを伸ばせた一方で、知識を実務に応用する難しさを実感しました。次の長期インターンシップに向け、土台となる力を磨きつつ学びへの主体性を持ち続けたいです。

紅床 佑哉さん(派遣先:マツダ株式会社)

2月13日に最初の長期フィールドワークの
成果報告会が行われました。

 2025年2月13日、広島大学中央図書館ライブラリーホールにて、フィールドワーク1期生による成果報告会が行われました。今回が初めての実施となる長期フィールドワークでは、2024年10月から約4か月間、計6社に学生7人が派遣され、それぞれの現場で実務を経験しました。
 報告会は鈴木由美子理事・副学長(教育・平和担当)の挨拶で始まり、続いて土肥正学部長がコーオプ教育の意義や、地域のDX人材育成に向けた取り組み、次年度の展望について説明しました。学生たちは、派遣先企業での業務内容や学びを発表し、実践を通じて得た手ごたえや、企業が求めるスキルと大学での学びのギャップを実感した様子でした。
 会場には受け入れ企業の担当者をはじめ、学内外から100人以上が参加。参加者からは「大変刺激になった」「いい取り組みであると感じた」といった声が寄せられ、コーオプ教育の成果や今後の展開に対する期待が感じられました。次年度は新たに5社が加わる予定で、さらに多様な学びの機会が提供されます。

本学のコーオプ教育に参画しませんか?

広島大学情報科学部では、コーオプ教育プログラムに参画する企業を募集中です。参画した企業からは、採用における人材確保や学生との協働への手ごたえなどについて、好評をいただいています。参画をご希望されるご担当者の方は、下記までお問い合わせください。

お問い合わせ

TEL:082-424-7888
MAIL:お問い合わせ先メールアドレス

  • 社内のDXを進めていくうえで、学生の方々の新しい発想を業務に活かす良い機会と考え参加しました。当社社員にとってよい刺激となりました。

  • 今回のインターンシップのおかげで、社内でも若手育成への意識が高まりました。今後も大学と協働し、優秀なデジタル人材育成に取り組んでいきます。

  • 教えることは学ぶこと。今回のインターンシップを通じて、弊社の若手エンジニアも多くの学びを得ることができ、ありがたく感じています。

  • 本取り組みは、企業・学生双方にとって有意義なものです。今後も参加者を増やし、継続的に発展していくことを期待しています。

  • 情報系の学生になじみがない業界にも活躍の場があると実感してもらえたようで嬉しいです。優秀な学生の若い感性を活かした提案で、業務に貢献してもらいました。

  • 国立大学では初めてとなる画期的な取り組みだと感じます。このような素晴らしいプログラムを実施いただいた広島大学に感謝しています。